FXの通貨ペアとは?選び方や初心者におすすめの通貨ペアを徹底解説
FXの通貨ペアとは?
FXでは2つの通貨を交換して利益を狙いますが、交換する2つの通貨の組み合わせを通貨ペアといいます。通貨ペアは米ドルと日本円なら「米ドル/円」、ユーロと米ドルなら「ユーロ/米ドル」のように表します。
通貨ペアの基礎知識
基軸通貨と決済通貨
通貨ペアの左側に表記される通貨を「基軸通貨」、右側に表記される通貨を「決済通貨」といいます。「米ドル/円」であれば、米ドルが基軸通貨、日本円が決済通貨です。FXの取引では、決済通貨を使って基軸通貨の売買を行います。例えば「米ドル/円を買う」というのは、「日本円を売って米ドルを買う」ということを表します。
メジャー通貨とマイナー通貨
FXで取引される通貨には様々なものがありますが、なかでも取引量が多く流動性が高いものをメジャー通貨、逆に取引量が少なく流動性が低いものをマイナー通貨といいます。それぞれに明確な定義はありませんが、米ドルやユーロ、ポンド、円などがメジャー通貨、トルコリラや南アフリカランドなどがマイナー通貨として分類されることが多いようです。
メジャー通貨 | マイナー通貨 |
---|---|
米ドル、ユーロ、ポンド、円、豪ドル、スイスフラン など | トルコリラ、南アフリカランド、メキシコペソ、ロシアルーブル など |
ドルストレートとクロス円
米ドル以外の通貨と日本円の通貨ペアを「クロス円」といいます。「ユーロ/円」や「ポンド/円」、「豪ドル/円」などはすべてクロス円の通貨ペアです。このような通貨ペアを取引する際には、一旦米ドルと他通貨の交換レートを介したうえでレートが算出されています。
例えばポンド/円の場合は、米ドル/円のレートとポンド/米ドルのレートをかけ合わせてポンド/円のレートが算出されています。ポンドと円を直接交換するのではなく、「一旦円で米ドルを買い、その米ドルでポンドを買う」のように米ドルを介して取引する流れをイメージするとわかりやすいでしょう。
また、米ドルと他の通貨とのペアを「ドルストレート」といいます。前述の通りクロス円の通貨ペアは米ドルを介して円との取引になるのに対して、米ドルを含む通貨ペアは直接米ドルとの交換を行うことから「ドルストレート」と呼ばれます。
CFA株式会社が提供する通貨ペア一覧
CFA株式会社では、豊富な30種類の通貨ペアを提供しています。メジャー通貨はもちろん、高金利通貨として人気のトルコリラやメキシコペソもお取引いただけます。
USD/JPY =米ドル/円 |
EUR/JPY =ユーロ/円 |
EUR/USD =ユーロ/米ドル |
AUD/JPY =豪ドル/円 |
GBP/JPY =ポンド/円 |
NZD/JPY =NZドル/円 |
CAD/JPY =カナダドル/円 |
CHF/JPY =スイスフラン/円 |
HKD/JPY =香港ドル/円 |
GBP/USD =ポンド/米ドル |
USD/CHF =米ドル/スイスフラン |
ZAR/JPY =南アフリカランド/円 |
AUD/USD =豪ドル/米ドル |
NZD/USD =NZドル/米ドル |
EUR/AUD =ユーロ/豪ドル |
TRY/JPY =トルコリラ/円 |
CNH/JPY =人民元/円 |
NOK/JPY =ノルウェークローネ/円 |
SEK/JPY =スウェーデンクローナ/円 |
MXN/JPY =メキシコペソ/円 |
GBP/AUD =ポンド/豪ドル |
EUR/GBP =ユーロ/ポンド |
USD/CAD =米ドル/カナダドル |
AUD/CAD =豪ドル/カナダドル |
EUR/NZD =ユーロ/NZドル |
AUD/NZD =豪ドル/NZドル |
USD/TRY =米ドル/トルコリラ |
EUR/TRY =ユーロ/トルコリラ |
SGD/JPY =SGドル/円 |
RUB/JPY =露ルーブル/円 |
各通貨の特徴
各通貨にはそれぞれ特徴があります。必ず当てはまるというわけではありませんが、傾向として取引する通貨の特徴は覚えておくとよいでしょう。代表的な通貨の特徴を紹介します。
米ドル(USD)
米ドルは米国の通貨です。ドルには豪ドルやカナダドルなどもあるため、それらとの区別のために米ドルやUSドルとも呼ばれます。米ドルは国際的な金融取引の決済で使用される通貨であり、取引量が多く値動きが比較的安定しています。日本人にとって米国は馴染みの深い国であるため情報も得やすく、人気の高い通貨です。変動要因としては米国の経済指標、金融政策、要人発言などが注目されるほか、世界の政治・経済関連イベント、戦争や紛争などの有事の際にも米ドル相場が大きく動くことがあります。
円(JPY)
円は日本の通貨で、金利が低いことや流動性が高いことが特徴です。また、日本が世界最大の対外順資産国であることなどから円は安全資産と呼ばれます。日本銀行の金融政策が変動要因となるほか、災害や戦争などの際にリスク回避で円が買われる「有事の円買い」と呼ばれる現象も見られます。
ユーロ(EUR)
ユーロは欧州単一通貨として、欧州の様々な国で使用されている通貨です。他の通貨に比べると歴史の浅い通貨ですが、取引量が多く、値動きも比較的安定していると言えます。ユーロ圏の金融政策を決定する欧州中央銀行(ECB)の動向や、ユーロ圏の経済を牽引するドイツの経済指標によって相場が変動することがあります。
ポンド(GBP)
ポンドはイギリスの通貨です。かつては現在の米ドルのように、世界経済において中心的な役割を果たす通貨でした。値動きが大きいのが特徴で、欧州との経済的な結びつきが強いため欧州経済の影響を受けやすく、ユーロと連動することもあります。
豪ドル(AUD)
豪ドルはオーストラリアで使われる通貨です。資源国通貨の代表格であり、最大の貿易相手国である中国の影響を強く受けます。日本にとっては時差がほぼないためリアルタイムに情報を得やすいという特徴もあります。
カナダドル(CAD)
カナダドルはカナダの通貨です。カナダがベネズエラ、サウジアラビアに次いで世界第3位の原油埋蔵量を有することから、カナダドルは原油価格と連動する傾向があります。また、カナダにとって米国が最大の輸出国であるため、米国経済の影響を受けやすいのも特徴です。
ニュージーランドドル(NZD)
ニュージーランドドルはニュージーランドの通貨で、「NZドル」とも表記されます。ニュージーランドは政治的・経済的にオーストラリアとの結びつきが強いことから、NZドルは豪ドルと似た動きをする傾向があります。最大の輸出相手国である中国の影響を受けやすい点も豪ドルと同様です。また、ニュージーランドでは酪農が主要産業であり、乳製品の価格に影響されてNZドル相場が動くこともあります。
スイスフラン(CHF)
スイスフランはスイスの通貨です。スイスが永世中立国で信頼性が高いことから、スイスフランは日本円と同様に安全資産と位置付けられており、戦争や経済危機などの際に買われる傾向があります。また、金利が非常に低いのも特徴です。
トルコリラ(TRY)
トルコリラはトルコの通貨です。高金利通貨として人気で、ドルやユーロなどと比べて必要な取引保証金(証拠金と同義)が少ないのも特徴です。ただし新興国であるトルコは先進国に比べると政治や経済の面で不安定であり、トルコリラは流動性が低く値動きが荒いというリスクがあります。そのため初心者が取引するには難易度の高い通貨といえます。
FX初心者向けの通貨ペアの選び方
FXで取引する通貨ペアを選ぶ際にはいくつかのポイントがあります。初心者は次のようなポイントを考慮して通貨ペア選びを行いましょう。
取引量が多く人気のある通貨ペアを選ぶ
初心者の通貨ペア選びでは、取引量が多く人気のある通貨ペアを選ぶのがおすすめです。取引量が多いということは流動性が高いということです。流動性が高い通貨ペアは値動きが比較的安定しており、スプレッドも狭い傾向があります。また、取引量が多く人気が高いということは、後述する「情報を得やすい」というメリットにもつながります。
スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶ
FXにおいて多くのトレーダーが重視するのがスプレッドです。スプレッドは取引のたびにかかる実質的なコストといえるものであり、通貨ペアによって異なります。コストをできる限り抑えるため、初心者はスプレッドが狭い通貨ペアから取引を始めるのがおすすめです。
情報が取得しやすい通貨ペアを選ぶ
外国為替相場は、戦争やテロ、経済危機といった出来事や、経済指標や金融政策、要人発言などあらゆる要因によって変動することがあります。そのためFXでは、取引する通貨に関する情報をチェックすることが重要です。従って、情報を活用して取引を行うために、関連情報が手に入りやすい国の通貨を選ぶことが重要になります。
FX初心者におすすめの通貨ペア
以上のポイントを踏まえると、初心者に最もおすすめの通貨ペアは米ドル/円です。米ドル/円は取引量が多く日本のFXで最も人気の通貨ペアで、スプレッドが狭く値動きも安定している傾向があります。また、日本人にとって米国は馴染みの深い国であるため、政治や経済に関する情報を得やすいのも大きなメリットです。通貨ペア選びに迷っている初心者の方は、まずは米ドル/円から取引を始めてみるとよいでしょう。
FX初心者には難易度が高い通貨ペア
逆に初心者には難易度が高く取引をおすすめしない通貨ペアについても紹介します。まず、英国のポンドは前述のとおり値動きが大きい傾向があるため、初心者の方はポンド系通貨ペアの取引には注意が必要です。またトルコリラやメキシコペソなどの高金利通貨も、高いスワップポイントが期待できる反面、値動きの不安定さや流動性の低さ、新興国特有の政情不安や地政学的リスクなどがあるため初心者の取引はおすすめできません。最初はこれらの通貨の取引は控え、FXに慣れてきてから改めて検討するとよいでしょう。
通貨ペアを利用した相場分析方法
FXでは、通貨ペアの性質に着目して相場分析を行うことができます。ここでは通貨の強弱や相関関係から相場を分析する方法を紹介します。
通貨の強弱から相場を分析する方法
FXの取引やチャート分析は基本的に「米ドル/円」のような通貨ペア単位で行いますが、日本円や米ドルといった通貨単体がそれぞれどれくらい買われているか(売られているか)を分析する方法もあります。これらを示す指標を通貨の強弱といいます。例えばドルが買われている状況であれば「ドルが強い」、逆にドルが売られている状況であれば「ドルが弱い」といいます。
ドルが強いということは、ドルに資金が集まっており、ドル高傾向になることを意味します。逆にドルが弱ければ、ドルから他の通貨に資金が流出し、ドル安傾向になります。「ある通貨が強く、別の通貨が弱い」という状況が続いた場合、2つの通貨の需要に差があるということなので、その2つの通貨のペアでトレンドが発生しやすくなります。例えば米ドルが強く円が弱い状況が続いていたら、米ドル/円で上昇トレンドが発生する確率が高くなります。
このように通貨の強弱はトレンド予測の手がかりにすることができるため、トレードで活用されます。CFA株式会社のツール「G.comチャート」では、通貨の強弱がひと目でわかる比較チャートが利用できます。今勢いのある通貨をチェックしたいときは、ぜひ活用してみてください。
通貨の相関関係から相場を分析する方法
FXで取引される通貨ペアには様々なものがありますが、その中には「ある通貨ペアが上昇すると、別の通貨ペアも上昇する」という傾向を持つものがあります。このような関係を相関関係といいます。
相関関係がある通貨ペアの例としては、豪ドル/円とNZドル/円などがあります。相関性の高い通貨ペアは似た動きをすることが多いため、NZドル/円を取引する際に豪ドル/円のチャートを参考にすることができます。例えば豪ドル/円が下落しており、NZドル/円はまだ下落していないという場合、この後で豪ドル/円の動きに連れてNZドル/円も下落する可能性があります。
また、通貨ペアの中には「ある通貨ペアが上昇すると、別の通貨ペアは下落する」といった逆の動きをする傾向を持つものもあります。このような関係を逆相関といいます。逆相関の関係にある通貨ペアの例として、米ドル/円とユーロ/米ドルがあります。
相関・逆相関ともに相場分析で活用できますが、これらの関係はあくまでも傾向であり、絶対的なものではないことに注意が必要です。相関性が高いペアでも、必ず同じ動きをするとは限りません。実際の取引では他の分析方法やマーケット情報なども活用して、総合的に判断することが大切です。